股関節は、体を支える最も大きな関節です。
片足立ちすると体重の3倍、飛んだりはねたりすると体重の10倍以上の力が股関節に加わります。
半球状のお碗形をしたポリエチレン・ソケット(人工関節)が寛骨臼(骨盤側)内に正確にはまり込むように、寛骨臼を半球状のリーマー(骨を削るヤスリ)で骨を削ります。
この時、骨から出血している部分に骨を削った時にできた、削りかすの細粉の骨(リーミング骨)を圧入すると、出血部分は完全に止血されます。
ソケットが骨セメントで寛骨臼の骨内に固定された直後より確実に固着され、動かないようにするために、寛骨臼(骨盤側)に多数の小さい孔(アンカーホール)をあけておきます。
骨セメントを使う時、軟らかい時にこのアンカーホールにも骨セメントをつめておきますと、約10分後には硬くなって完全に固着され、動かなくなります。
過酸化水素(オキシフル)は数分間、止血効果があります。
また、感染防止にもなります。
ソケットを設置した時、骨盤の骨(寛骨臼)よりはみ出した部分に切除した大腿骨頭を利用して骨移植を行います。
この時に骨と骨の間に狭い隙間があれば、骨セメントを入れた時にここから、骨セメントが漏れる危険性がありますので、この間隙に水酸アパタイト(HA)の顆粒(0.9〜1.5mm大)を詰め込んでおきます。
また、骨セメントが漏出する危険性の部分にもつめておきます。
より確実な止血をするために、再度止血の操作を行う。
過酸化水素(オキシフル)使用するので、感染防止にもなる。
右図:死体の大腿骨の内面にHA顆粒を塗っているところ。
左図:HA顆粒を塗った後の大腿骨の内面の状態。
HA顆粒は大腿骨内面全体に塗られている。